なぜ人は手を洗うときに、蛇口を回すのでしょうか?
これは蛇口のアノ形が、「回すと水が出まーす。」と教えてくれているのです。
キッチンの蛇口はレバーですが、人はなんなく水を出すことが出来ます。
レバーの形が「倒すと水が出るよん。」と教えてくれているのです。
「ある物をどう使えばいいのか、その物自体が教えてくれる。」
これを「アフォーダンス」といいます。
例えば、適度な高さの平らな面には、座れるというアフォーダンスがあります。
だから、平らな岩や、木の切り株や、公園のベンチに、人は腰掛けます。
人は、深みのある取っ手のついた物で、コーヒーを飲みます。
人は、棒に毛が生えている物で、歯を磨きます。
ボタンは押す、ヒモは引っ張る、棒は振り回す。
これらは全て、その物自体が持つ知覚的な特性なのです。
アフォーダンスがなければ、歯ブラシの説明書と、ハミガキ粉の説明書が両方ないと歯も磨けません。
包丁の刃を握って、柄のほうで魚を殴ってるかもしれません。
日常生活でも蛇口の下に手を突っ込んで、
「あれ?あれれ?・・・なんや自動ちゃうんかい。」
とか、ドアの前で、小さくジャンプ。
「なんや自動ドアちゃうんかい。」
これらはアフォーダンスが、うまくデザインに取り込めていない例です。
僕たちはアフォーダンスのおかげで、トイレで顔を洗ったり、玄関でウンコしたりしないんです。
アフォーダンスは、人と物をつなげるのです。
誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)


